予告
3F救急病棟、ナースステーション向かいの個室。あてがわれた部屋はまさしく臨死の部屋だと感じる。蘇生後の父は衣類一つつけず、薄い掛け布団から両肩を出して眠り続けていた。心筋梗塞――それは三年前に医師から予告されていた。...
View Article緩和
夜勤明けの看護師が病室を覗いて見舞客の数を確かめる。引き継ぎの後、主治医から病状について話があるという。「寒くありませんか」と尋ねられ一様に「いいえ」と愛想笑いを返す。寒くはないが壁の色が暗い。連れてきた娘たちの顔色が冴えないので、母を残し自販機のある場所へ移動した。...
View Article何かは何か。
母を残し何往復か目の自販機の前に座る。弟が席を外していたのは葬儀の段取りのためだった。両親はこれまで奔放な生き方をして蓄えをまったく持っていなかった。病気のための保険も何も掛けていない。父が目に見えて衰えてきたここ数年、弟が罵倒を交えながら貯めさせてきた年金もやはり葬儀が出来る金額には足りなかった。...
View Article午後
病室に戻るとパルスオキシメータは50を過ぎたところでじりじりとしていた。「食べられんかったやろ、ごめん」という妹を座らせこれまでかと父の手を撫でる。12時間を過ぎていた。よく頑張っている。顔色はつい先ほどより白みを帯び、肩のあたりは湿り気を含みだした。「じい」娘が父を呼ぶように呼んだが眠りは覚めない。この日を予期したように先週は兄弟の家に遊びに行き、妹娘の成人式の写真に目を細めたという。「間に合って...
View Article聞こえないけれどあなたはここにいる
老猫の伝い歩くを抱くやうに父を二度抱く厠の前で傍線がいとおしそうに波打って忘れられてく 父の名、子の名おとうさんゆびをわすれてこれからのちちのかぞくはよにんになったやがて来る別れのための杉玉を飾るかのごと在る車椅子切り株の椅子に座って順番を待つあいだじゅう糸杉になる 死ぬ前の父やはらかく汗をかき人とふものの承認不要 絶対は絶対ないと聞かされた子は思う...
View Article雑記
もうそろそろ、父の葬儀と亡くなってからの顛末を書こうと思ってるんだけど。これがなかなか、しんどい。もう書かずにいようかとも迷うが、そうしたら後で、記憶が歪んで変にアレコレを恨みつらみそうだから。 書いていくしかないよね。...
View Articleコメントの閲覧・投稿機能の見直しと原状復帰。
Yahoo!ブログの中の人が、コメントの投稿・閲覧機能の見直しを行ったそうで。シンプルに言うと、昨年11月のログイン必須改定から元に戻したんですね。4カ月ぶりに誰でも気軽にコメント投稿・閲覧もできる仕様になったわけです。しかしなあ。これからは、ヤフーIDをお持ちでない方、ログインされていない方も、コメントの閲覧、投稿ができるようになります。――いや、今まで出来てたのをスパム防止のためだとかで変更した...
View Article水紋
短歌にセオリーがあるらしい。勿体ぶったり臆病な人はこれを「短歌のひとつのセオリー」と言葉数を増やして言う。ひとつでも山、掬ったものが水であっても目の前に横たわるのは川。ひとつってなんだよ。もとい、長く愛されてきた文化であるし、むべなるかな。セオリーに基づいて歌は仕分けられてゆく。いわく動詞の多い短歌は削ぎ落す(せ)、メタ短歌の低評価など。セオリーは短歌を斬ってゆく、いいねされる歌と見向きされない歌と...
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